大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ラ)89号 決定

記録によると、本件収去命令の基本たる債務名義は、横浜地方裁判所川崎支部宅地建物調停委員会において昭和三六年九月二九日成立した調停調書であつて、右調停条項の第六項に抗告人ら主張の如き定めがあることが認められる。

而して、右条項にいう「被告会社及び被告萩野武、同中島誠之は原告らに対し右地上建物を収去し第一項の土地を明渡し」とあるのは、右被告ら(右調停事件の相手方ら。以下同じ)において共同して、解除当時当該地上に現存する一切の被告ら所有建物を収去して該土地を明渡すべきことを定めたものと解するのが相当であり、而も、このように定めたからといつて被告らの義務の内容が特定しない等抗告人主張の如き違法があるものとはいい難い。

(もし、建物収去土地明渡の調停条項には、必ず収去すべき建物の細目を掲記してこれを特定しなければならないとすると、調停成立当時現存する建物は格別、将来該地上に被告らによつて建設されることあるべき建物につきあらかじめ収去を約定することは事実上不能に帰するわけであるが、土地明渡の調停において将来建設されることあるべき建物の収去をも含む債務名義を成立させることを許さない理由はない。

従つて、右の如き将来の建物をも含めて、建物収去土地明渡の調停条項を定める場合に、解除当時当該地上に現存する相手方所有の一切の建物を収去し該土地を明渡すべきものと定めたからといつて必ずしも違法ではないと解すべきである。然らば、前示調停条項第六項に基き原裁判所が本件建物収去を命じたのは、相当であつて、本件即時抗告は理由がない。

(菊池 川添 花渕)

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